思い出を切りぬくとき/萩尾望都
ちょっと前に開催されていた萩尾望都さんの原画展に行って買った本です。
1970年代に雑誌に連載されていたエッセイをまとめたもの。
作家生活40周年で本にまとめられたそうです。
エッセイのテーマがいくつかあるうちのひとつが、ダンスマガジンに掲載されていたものて、萩尾さんが実際に観た公演について書かれているのだけれど、フットワークの軽さ、ハンパない!
だって、ベジャールの公演を観るためにフランスにびゅーんと行っちゃうんですよ。ブリュッセルに行っちゃうんですよ。
そこでしか観られない舞台だから、そうよね行きたいよね、でも実際に行っちゃうって凄いよね…。
そして、羨ましいことにバリシニコフが15年ぶりに日本で踊るとなったら、全公演チケット揃えて、その公演中はお仕事お休みして公演を待つんですよ。
私も松竹期間、全公演チケット揃えてお仕事お休みしたいわ(近いことを、転職の時期にやったことあるけれどね…ははは)。
非常に共感できた部分を、二つ引用しておきます。
私は再び『ファウスト』を観にいくつもりだ。今年の8月と9月、私こういう気持だったよ。ま、世界中のどこで上演されるにしても、というのは実際はか海外は厳しいですけれど、気持ちの上ではそうだったな(笑)。世界中のどこで上演されるにしても、
それを見、感じ、私をとらえてしまったその謎を解くために。
そしてまた、ただ陶酔するために。
百年前に生まれても百年後に生まれても見ることができない、脳ミソがふっ飛んでしまうような芸術を、今、同時代に生まれて見ることができる、この機会を、時間の神様に、心から心から、感謝することにしよう。いや、本当に、同時代に生まれて見ることができるなんて、本当にありがたいことですよね。